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XII

spacer 今はまだ孵らない翼
耐えれない一人の朝
見上げる空を阻む傘
噛み締める情けなさ
落ちる水滴の冷たさ
今はまだ孵らない翼
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The Hanged Man/吊るされた男
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The Hanged Man

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The Hanged Man/吊るされた男

カードの持つ意味:
【吊るされた男】は、よくネガティヴな意味に捉えられがちですが、「罪人」と言うよりは「殉教者」と捉えた方が意味が読み取り易いです。この場合、「耐える事」や「犠牲」、「試練」や「尽くす事」などがキーワードとして浮かんできます。
また、このカードはメジャーアルカナの「12番目」、つまり【愚者】を除く21枚のカードの中の後半の最初のカードであり、「折り返し」「方向転換」のニュアンスが読み取れます。カードの絵柄は逆さ吊りになった男性です。逆さ吊りと言う事は、世界が反転して見えます。これが「視点を変える」ニュアンスに繋がります。
また、黄道十二宮や十二支、十二仙、十二使徒など、古来から12(=1ダース)は区切りのいい数字として扱われる事が多いです。ここから、「先に行く事が困難」「停滞」「スランプ」などの要素を含み、そこから【吊るされた男】のイメージとなったとも考えられます。
また、タロットを[キリストの生涯]の物語として捉える、と言う解釈があります。この場合、次の「13」が【死】ですから、当然有名なゴルゴダの丘での磔刑となります。タロットの伝統的な絵柄では描かれる人物は足を十字に組んでいたりします。また、キリスト教を持ち出すなら、「同じ死に方では師に失礼なので逆さに磔になりたい」と言ったという聖ペトロと言う説もありますし、苦行系の修行僧を持ち出す事も出来ます。
実はキリスト教を持ち出すとこじつけっぽさが増すのであまり好きではないのですが、タロットが中世ヨーロッパ出身だと言う事を考えるとその影響を無視するわけにはいきませんし、タロットと縁が深いとされるエジプトは、キリスト教にとっても縁の深い土地です。さらに【吊るされた男】と【死】に関して言えばキリスト教的なテーマを持ち出さずに解釈する方が難しいとも言えます。
こじつけついでにもう一つ。北欧神話のオーディンがルーン文字を獲得するために世界樹イグドラシルで首を吊り、槍で自らを刺して自分自身を生贄にした、という伝説です。ここから「知識の獲得」、「試練」「犠牲」といった要素を半ば無理矢理読み取る事が出来ます。ちなみにルーン文字の総数は「24」、一応「12」の倍数です。
このカードは「犠牲者」「罪人」「苦行僧」と行く通りもの意味が読み取れるので、占う内容によって解釈が大幅に変わり、更に正位置と逆位置で良い意味にも悪い意味にもとれてしまう難解なカードです。

正位置:
自己犠牲/耐える事/試練/中途半端/停滞
逆位置:
意地っ張り/エゴイスト/無謀/報われない/濡れ衣

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